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2018-11-26

高須克弥医師の受けた免疫細胞療法のエビデンス

高須克弥医師は、自らが受けているがん先端治療について、効果は保証されていないと述べましたが、その起源となる治療については米国の国家プロジェクトにおいて効果が確認されています。

高須医師が受けているのは免疫細胞療法
「全身がん」で闘病中の高須克弥医師が、先日、TV番組に出演し、免疫細胞療法を受けていることを公表しました。免疫細胞療法は、患者の免疫細胞を採取し、体外で培養して、がんと闘う戦力を増やして、再び体内に戻すという治療です。現在、保険適応にはなっておらず、高須医師自身も効果が保証された治療ではないとコメントしています。しかし、この治療の歴史を遡っていくと、大規模な臨床試験によって効果が確認されていることがわかります。

NIHの臨床試験で確認されたLAK療法の効果
1984年、NIH(米国立生研究所)は免疫細胞療法の起源といえるLAK療法の臨臨床試験を行いました。既に抗がん剤が効かなくなった患者数百名に対して、50~80lもの血液を循環させながら、免疫細胞を分離採取し、インターロイキン2で活性を上げてから、3日間培養して、再び点滴で体内に戻すという大がかりな取り組みでした。結果、腫瘍が完全消失、大幅に縮小した患者を含め、全員に何らかの効果が確認されています。がん患者の体内は免疫が強度に抑制されており、体外で活性を上げ、量を増やしてやれば、進行がんであっても征圧出来る可能性を証明したのです。

LAK療法が実用化されなかった原因
後年、このLAK療法についての幾つもの検証が行われ、いずれも否定的な見解を出していますが、問題は後年の検証とNIHの臨床試験では本気度が異なりました。非常に高価なインターロイキン2を惜しみなく使ったり、腫瘍が急激に壊死することで、患者が危険な状態に陥ることさえあったり……月を目指すような目標に本気で取り組む国だからこそ出来たような話です。実際、そのコストが非現実的であったため、LAK療法自体は実用化されませんでした。当時の技術では効果と安全性の両立は困難だったのです。

免疫細胞療法は、効いていれば発熱はあるはず
現在、様々な医療機関が自由診療で行っている免疫細胞療法も、基本はこのLAK療法の縮小版です。多くの免疫細胞療法は、効果がないという批判がありますが当然のことでしょう。実際、採血は数十mlですし、殆どの医療機関は免疫細胞療法、そしてがん免疫の要であるNK細胞を培養する技術を持っていません。そのような免疫細胞療法を受けても発熱さえないことが多いのですが、免疫が活発にがん細胞を攻撃していれば、相応の発熱は副反応として見られるはずです。

免疫細胞療法の鍵はNK細胞の量と活性
高須医師は免疫細胞療法の効果については保証されていないと述べました。しかし、その起源を遡っていくと、明確なエビデンスを見つけることが出来ます。残念ながら免疫細胞療法の現状は、オリジナルのLAK療法をスケールダウンし、効果が期待出来そうにない治療も罷り通っている玉石混交といえます。がん免疫の主役であるNK細胞の量と活性が十分なのか、しっかりと見極めて選ぶ必要があるでしょう。

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