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2018-10-05

オプジーボ狂騒曲、第2楽章がはじまるか

熱しやすく冷めやすい我が国のメディアは、ノーベル賞をきっかけに、またオプジーボを持て囃しはじめるのでしょうか。

PD-1の発見があったから、オプジーボが生まれた
免疫チェックポイント「PD-1」を発見し、オプジーボ誕生の功労者である本庶佑京都大学特別教授がノーベル医学生理学賞を授与されました。ここ数日、メディアは一斉にPD-1やオプジーボに関する報道を続けています。オプジーボは一昨年、非小細胞肺がんに保険適応になり、一気に使用が増えた当初、夢の新薬と持て囃されました。新薬の開発では欧米に遅れをとっている我が国発の新薬であり、従来の抗がん剤とは全く作用機序が異なることが、注目されたのでしょう。

オプジーボは夢の新薬などではない
その後、高額な薬価が問題視されたり、副作用で亡くなる方が続いたりしたため、夢の新薬ブームは沈静化していきました。しかし、熱しやすく冷めやすい我が国のメディアの悪しき体質を考えると、ノーベル賞授与の祝賀ムードの中、またオプジーボの実情が正確に伝えられないことが懸念されます。まずオプジーボには重篤な副作用リスクがあります。従来の抗がん剤がほぼ全ての患者に副作用が出るのに対して、オプジーボは出る方もいれば出ない方もいます。しかし、出た場合には自己免疫疾患という生死に関わる重篤な症状なのです。また、オプジーボが、がん細胞が免疫細胞にかけている抑制を解除するといっても、ほんの一部に過ぎません。決して夢の新薬ではないオプジーボを絶賛する狂騒曲を、メディアが再び奏ではじめないか祈るばかりです。

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