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2018-08-03

がん細胞が放出する小胞が、今後の新たな治療を生む

がん細胞が放出するエクソソームという小胞は、増殖に関わっており、その働きを抑えることで、新たながん治療が開発されそうです。

エクソソームには特異的な蛋白質などが含まれる

細胞からは様々な小胞が放出され、生体内で様々な役割を果たしています。中でも直径50~100nmの小胞であるエクソソームについては近年、研究が進み、がんとの関係が明らかになってきました。がん細胞は正常細胞よりも多くのエクソソームを放出していますが、その中にはがん細胞に特異的な蛋白質やDNA、マイクロRNAが含まれています。従来はがん細胞の中で不要になった物質を放出していると考えられていましたが、この放出した物質は、がん細胞が増える際に、栄養を供給する血管を新生したり、がん細胞を攻撃する免疫細胞の働きを妨げたりして、がん細胞の増殖を助けることがわかってきました。

エクソソームの働きを逆手にとった新治療
そして、このエクソソームの働きが解明されたことで、それを逆手にとったがん治療の開発も進んでいます。エクソソームにある蛋白質を抗体で捕まえることで、乳がんの転移を抑えられることは、実験では成功しています。また、RNAでエクソソームを作る遺伝子の働きを抑えることでも、乳がんの転移を抑える実験は成功しています。ほかにも樹状細胞にエクソソームを認識させることで、T細胞の活性を上げて、マウスに移植した悪性黒色腫の細胞が増えるのを抑えられています新たなながん治療のきっかけとして今後も注目していきたいものです。

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