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2018-05-14

富士フィルムがDDSを使った抗がん剤の治験を開始

抗がん剤をがん細胞にのみ送り届けるDDSは、効果の面でもコストの面でも期待を寄せられている技術です。

がん治療薬はいかに正常細胞に影響を与えないかが重要
がん治療薬の開発においては正常細胞に対していかに影響を与えないかがポイントになります。従来の抗がん剤は分裂中であれば正常細胞であっても攻撃し、それが副作用の原因になったからです。現在、新薬開発の主流である分子標的薬は、がん細胞に特有の物質を目印として作用するため、副作用がかなり軽減されました。しかし、分子標的薬はバイオ薬品であり、開発に膨大なコストがかかるのが難点です。

既存の抗がん剤を患部に効率よく送り届けるDDS
別のやり方として既存の抗がん剤などを使って、がん細胞だけに効率よく送り届けるDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)があります。富士フイルムは抗がん剤「FF-10832」の治験を米国でスタートさせましたが、これは膵臓がんなどに使われる既存の抗がん剤「ゲムシタビン」を、カプセル状の微粒子(リポソーム)に包むことで、患部に的確に送り届けられるようにしています。ゲムシタビンは水に溶けやすく、患部に十分な量を送り届けようとすると、濃度を高くする必要があり、副作用が大きくなるのが難点でした。この技術によって効率よく、そして患者に負担が少ない形での投薬が可能になりそうです。

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