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2018-01-05

海外では既に承認されている免疫細胞療法

免疫細胞療法にはエビデンスがないと、一部の不勉強な医師が批判していますが、海外では既に承認を取得した免疫細胞療法があります。

話題のCART-Tは免疫細胞療法の一種
新たながん治療として注目を集めたCART-T。免疫細胞の遺伝子に改変を加えるという点、米国でFDAの承認を取得した点、そして5000万円を超える破格の費用が話題になりました。恐らく数年後には国内でも承認され保険適応となるはずですが、オプジーボの3000万円を超す薬価(後に半額に値下げ)が問題視された後なので、どれだけの薬価がつくのか注視したいところです。実はこのCART-T、患者の免疫細胞を体の外で強化し、さらに増やした後に、体内に戻すという点では、免疫細胞療法の一種といえます。

数年前にはプロベンジが欧米で承認取得
このところ、保険診療外のがん治療に対してメディアは批判的です。特に批判の対象になったのが、自由診療で高額な費用のかかる免疫細胞療法でしょう。確かに多くの免疫細胞療法は免疫細胞の質、量ともに不十分であり、期待するような効果は得られません。雑誌やWEBなどではそれをもって免疫細胞療法の全てを否定するような不勉強な医師がいました。エビデンスがないので真っ当な治療ではないと断じているのです。しかし、CART-Tは立派な免疫細胞療法です。また、数年前には前立腺がんの免疫細胞療法であるプロベンジが米国や欧州で承認されています。

NIHによって効果が確認されたLAK療法
現在の免疫細胞療法の原型となっているのは、1980年代に米国で臨床実験が行われたLAK療法です。患者の血液から採取したリンパ球に、免疫を刺激するインターロイキン2を加えて培養し、体内に戻し続けるという治療で、抗がん剤が効かなくなった患者に対して、腫瘍が消えたり縮小したりという明らかな効果が確認されています。しかし、あまりのコストと副作用の激しさから実用化はされませんでした。後の検証ではLAK療法は効かなったということにされていますが、その大半は当初ほどの治療強度で再現されていません。効果が確認出来たのは、NIH(米国立保健衛生局)が国を挙げてのプロジェクトとして行い、予算や多少のリスクは度外視で行われたからだともいえます。ともあれ、免疫細胞療法にはエビデンスはあるということは断言出来ます。

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