toggle
2017-05-19

早期がんと進行がんでは深刻さが違う

中村獅童さんが肺腺がんであることを公表しました。ここ数年、中村勘三郎さん、坂東三津五郎さんなどが若くしてがんで亡くなっているだけに、病状が気になるところですが、幸いにも極めて早期での発見だったそうです。

歌舞伎界では若くしてがんで亡くなる方が相次いだ
歌舞伎俳優の中村獅童さんが肺腺がんと診断され、予定されていた公演を降板することが発表されました。歌舞伎の世界では記憶に新しいところでは中村勘三郎さんが57歳、坂東三津五郎さんが59歳の若さでがんで亡くなっています。市川團十郎さんも血液のがんである白血病で亡くなったのは66歳の時でした。獅童さんは彼らよりもずっと若い44歳。歌舞伎だけでなく映画やドラマでも活躍する人気者だけに、多くの方が病状を心配していることでしょう。

腫瘍が粘膜にとどまっていれば早期がん
幸いなことに獅童さんのがんは極めて早期だと伝えられています。がんは早期と進行してからでは全く別の病気といっても過言ではありません。固形がんの場合、ひとつのがん細胞が大きくなって腫瘍になり、どんどん大きくなっていきます。その度合いによって早期がんと進行がんに区別されるのです。胃がんや大腸がんを例に挙げると、粘膜でとどまっていて、筋肉まで浸潤していなければ早期がん、浸潤していれば進行がんになります。ステージでいうと2までが早期がん、3以降が進行がんに相当します。

早期がんであれば完治の見込みは大きい
早期がんであれば手術で腫瘍を取り去れば、再発や転移の可能性は比較的小さく、完治の見込みは大きいといえます。再発予防のために抗がん剤や放射線を使うことがありますが、標準治療での効果が期待出来ます。これに対して進行がんは血液やリンパによってがん細胞が全身に散らばっており、目に見える腫瘍を全て取り去ることが出来ても、再発や転移の恐れがあるのです。早期がんの局所治療に対して進行がんでは全身治療が必要になります。

進行がんになると標準治療では延命しか望めない
標準治療での全身治療は主に抗がん剤を使うことになります。ところが、抗がん剤はがん細胞だけを選んで攻撃するわけではありません。がん細胞が正常細胞より盛んに分裂することに着目し、分裂中の細胞の剥き出しになったDNAをばらばらにしてしまうのです。分裂中であれば正常細胞まで巻き添えになり、吐き気や下痢、脱毛などの副作用の原因となります。そして、分裂していなければがん細胞は生き残ります。生き残ったがん細胞は、免疫が低下した患者の体内で増え続け、再発や転移の原因となります。標準治療では完治は望めない、延命しか出来ないという理由はそこにあります。

がんは何よりも早期発見、早期治療

早期がんと進行がんという観点で考えると、やはりがんは早期発見、そして早期治療が何よりであることがおわかりでしょう。最近、雑誌などの見出しでがん検診は無意味だとか、がんは治療せずに放置せよなどという無責任な表現が目立ちます。確かにバリウム検査のように正確さに問題があったり、被曝のリスクがあったりする検査はあります。また、がんの症状によっては標準治療が患者を苦しめるだけの場合はあります。しっかり読めば、内容は理解出来るのでしょうが、刺激的な表現は目にする者を惑わせます。完治を目指すのであれば、がんは早期発見、そして早期に正しい治療を行うことです。
Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事