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2017-04-18

放射線カプセルを埋め込む患者に優しい前立腺がん治療

放射線を出すカプセルを体内に埋め込む前立腺がんの治療があります。腫瘍を狙い撃つことが可能であり、患者にとって負担が少ないという長所もあります。

 

前立腺がんの手術後の機能温存という問題
近年、食生活の欧米化の影響などで増えている前立腺がん。早期に処置が出来れば、予後が良好な場合が多いのですが、ひとつ問題になるのは、いかに手術後も同様の生活が出来るようにするかということです。前立腺は男性の膀胱と直腸の間にあるクリの実くらいの大きさの器官です。前立腺がんの治療では手術や放射線が一般的ですが、前立腺の周囲には排泄・性機能などに関わる神経があり、従来の手術ではこれらの障害が後遺症になりました。また、放射線を使う場合でも、患部に到達するまで通過する部分に影響がありました。

放射線を出すカプセルを、患部の周辺に埋め込む
近年では手作業よりも繊細な動作が可能な手術ロボットの登場で、排泄・性機能を温存することが可能になりました。そして、放射線においても放射性物質を封入したカプセルを、患部の周辺に埋め込むことで、効率的に照射するという治療が行われています。長さ4.5mm、直径8mmというチタン製のカプセルにヨウ素125を封入し、患部の周囲に50~100個くらい埋め込みます。埋め込む数や位置は腫瘍の大きさに応じて調整します。放射線は1年ほどで出なくなりますが、カプセルはそのままにしておいても問題はありません。

放射線に濃淡をつけて、腫瘍を狙い撃ちに
この治療は下半身に麻酔をかけ、小さなカプセルを挿入するだけなので、数日間の入院で済み、患者にとって負担が少ないというメリットがあります。また、カプセルの数や位置で放射線に濃淡をつけられるため、腫瘍を狙い撃つことが可能。米国では10年間の治療成績では前立腺を全摘出した場合と比較して遜色ないという報告があり、既に高い評価を得ています。特に有効なのは前立腺から浸潤や転移のない場合で保険適応にもなっています。

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