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2016-11-16

オプジーボの薬価、50%引き下げへ

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年間3500万円という高い薬価が問題になり、値下げが検討されていたオプジーボですが、来年2月から薬価が50%引き下げられることになりました。

オプジーボの値下げ率は50%に
年間3500万円といわれる薬価の高さが財政を圧迫するのではないかと懸念されている免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」の薬価が、次の改定の時期を待たずに引き下げられることになりました。国は薬価が高いとの批判を受けて、引き下げる方向で調整を続けてきましたが、11月16日、厚生労働省の薬価を審議する協議会で、来年の2月から50%の引き下げが了承されたのです。

オプジーボの市場は当初は小さかった
オプジーボは2014年7月、悪性黒色腫に健康保険適用となりました。対象となる悪性黒色腫の患者数は年間で500人にもなりません。市場としては小さい薬です。新薬が開発され、健康保険の適用となるまでには、大きなコストがかかります。小さな市場で回収するとどうしても割高になってしまいます。国内の製薬会社が開発したこと、従来の抗がん剤とは全く違う仕組みであることと相まって、オプジーボが一躍話題になり、使用が急増したきっかけは、昨年暮れの非小細胞肺がんへの健康保険適用拡大です。肺がんは最も患者が多いがんで、さらにはその8割が非小細胞肺がんです。オプジーボが使える患者は5万人ともいわれています。そのような経緯でこのままでは財政破綻を招くとか、製薬会社は儲け過ぎだというような声が出てきたのです。米国の倍以上、英国の5倍以上という内外での価格差も問題になりました。肺がんに続いて腎細胞がんに健康保険の適用が拡大され、今後も何種類かのがんで拡大される見込みなので、市場はさらに大きくなるだろうという事情もあります。

市場が数十倍になったのだから、半額でもまだ高い
健康保険は、健康な方が病気や怪我の方を救済する仕組みです。公の制度である以上、それが適用される上では、どこに出来たがんなのか、どんな治療の経緯なのか、厳格な線引きが求められるのは致し方ありません。例えば国内では肺がんにしか健康保険適用にならない薬が、海外でほかの部位のがんに効果がはっきりと確認されていたとしても、健康保険の適用拡大になるまでは、治験を経てエビデンスを求められます。それだけ厳格な仕組みであれば、オプジーボが悪性黒色腫の患者だけで開発費を回収し、利益を上げる上での計算は妥当なのでしょう。当初の薬価は決して高くないのかもしれません。ただ、それなら非小細胞肺がんに健康保険の適用が拡大された時点で、市場は何十倍にもなり、現に使用は急増しているわけですから、薬価がたとえ半額になったとしてもまだ割高なような気はします。

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