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2016-08-10

バリウム検査は胃がんのリスクを増やす

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胃がんの検査で胃がんになりやすくなる──こんな本末転倒なことになっているのがバリウム検査です。リスクがある上に制度にも問題があることがはっきりしています。

毎年1000万人がバリウム検査を行う
毎年、職場や地域の健康診断を受けている方は、その際にバリウム診断を受けているのではないでしょうか。日本人に多い胃がんや食道がんを発見するための検査ですが、年間に約1000万人もの方が受診しています。ところが、この検査にはいろいろな問題点があることがわかってきました。

レントゲン撮影と診断は担当が別
第一に検査の精度の問題です。撮影の際、体を動かしながら、何回も撮影するのですが、透視を行っているレントゲン技師が、異変を見つけた任意のタイミングで撮影します。異常がないかどうかを診断するのは、写真に現像された段階であり、担当するのは医師ですから、どうしても見落としが出てしまうのです。この見落としを恐れて、少しでも疑わしい場合は再検査の必要ありと診断してしまい、余計な医療費やストレスを発生させる原因にもなっています。また、確認出来るのは粘膜に潰瘍や隆起の出来た状態のみで、胃粘膜の内部に異常があり、そこが平坦な場合はレントゲン写真では把握出来ません。

バリウム検査の被曝量は胸部X線検査の数百倍
次にレントゲンによる被曝の問題です。レントゲン撮影による被曝線量は大きなフィルムによる直接撮影の場合、15~25mSy、小さなフィルムによる間接撮影の場合、20~30mSyといわれます。胸部X線写真を撮影する際の被曝量が0.12mSyなので、いかに多いかがおわかりでしょう。ちなみに被曝が原因でDNAが傷つき、細胞ががん化するリスクがあるのは50~200mSyといわれます。こんな検査を私たちは毎年繰り返し、がんを見つけるための検査で、がんが増えるような本末転倒になっているわけです。

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精度を求めるなら内視鏡検査を
胃がんについてはほとんどの患者がピロリ菌感染が原因であることがわかっています。この感染の有無と胃粘膜の収縮の具合を調べる胃がんリスク検診によって、発見率は飛躍的に向上します。また、検査の精度で考えるなら、内視鏡のほうが断然優れています。直接、胃粘膜を観察し、色素の染色などまでわかるので、バリウム検査では見落としてしまう平坦な腫瘍でも発見することが可能です。また、異常があればその場で細胞を採取し、詳しく調べることも出来ます。胃カメラは苦しそうだらからと敬遠される方は多いのですが、最近ではストレスなく受けられる無痛内視鏡検査もあります。毎年の健康診断の際に一度考えてみてはいかがでしょうか。 

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