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2016-07-01

1.がんは免疫の病気

健康な方の体内であっても、がん細胞は日常的に発生していますが、免疫という仕組みに退治されて、簡単には増えることが出来ません。検査で見つかるがんは、免疫力の低下に乗じて育ってきた難敵なのです。

免疫力が低下するとがんに
がんは免疫との関わりが深い病気です。大きな病気、慢性的な炎症、環境汚染、強いストレスなど何らかの原因で免疫力が低下すると、発がんのきっかけになることがあります。一般に若いうちにがんになる方はそれほど多くありませんが、年齢が上がるにつれて、発症が増えていきます。加齢に伴って免疫力が低下していくためです。

日々、免疫ががんの芽を摘む
免疫力が落ちると、どういう仕組みでがんになるのでしょうか。定説では健康な方の体内でも日々何千ものがん細胞が発生していると考えられています。しかし、免疫細胞が全身を監視し、見つけ次第殺してしまうので、簡単にがんになることはありません。このように絶えずがんの芽を摘んでいる仕組みを「免疫監視機構」といいます。健康な方であれば、免疫監視機構がしっかり働き、免疫の勢いががん細胞を上回っています。

がん細胞と免疫との勢いが逆転した結果
何かのきっかけで免疫力が低下すると、がん細胞を殺し損ねて、そこから増殖を許してしまうことになります。免疫監視の網を逃れたがん細胞が、勢力を増し、自分たちを抑え込んでいた免疫との立場を逆転した結果が、がんという病気なのです。

がんの本質「免疫抑制」
勢力を増し始めたがん細胞の集団は、偽の信号で免疫を惑わせ、天敵である免疫細胞の働きを妨害します。活性が低下した免疫細胞は、がん細胞を認識したり、攻撃したり出来なくなります。これががんの本質といえる「免疫抑制」です。一旦、勢いづいたがん細胞は、免疫に再逆転されないように、強く抑制をかけながら増殖していくのです。こうして育っていった結果、検査で見つかる大きさの腫瘍になります。

免疫の回復が完治に直結
進行がんを治療する際には、免疫抑制の影響は無視出来ません。がんに負けない免疫力を回復することが、完治に直結するからです。しかしながら、標準治療の三本柱である手術、放射線、抗がん剤は、いずれも免疫にダメージを与えてしまいます。進行がんとの闘いでは免疫系の治療を取り入れることが理にかなっていますが、保険診療の範囲で有効な免疫療法はほぼないのが現状です。そこで、自由診療を視野に入れて、治療法を検討する方が増えつつあります。

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